ホテルランドリーが経営を左右する理由②

コストの最適化やサービス品質の向上がますます求められる現代のホテル経営。
「清潔なタオルやシーツの提供」は、宿泊者の満足度を大きく左右する重要な要素です。
今回は、そんなホテルにとって欠かせない“洗濯”という業務が、実は経営を大きく左右してしまう背景と、その対策について掘り下げていきます。
~洗濯事情の変化がもたらす、ホテル経営への影響~
宿泊者にも関わる「エコ」の裏事情
ホテルランドリーが経営を左右してしまう事情については、別のコラムでもお話ししましたが、実はまだ続きがあります。
最近のホテルではエコ意識が高まっており、「ベッドシーツの交換は2日以上の滞在で」や「3日以上の滞在から」などの案内をよく目にするようになりました。
環境に優しい取り組みで素晴らしい一方で、「本当は毎晩新しいシーツで眠りたい」と感じるお客様もいるのではないでしょうか。宿泊費を払っているのだから当然の気持ちですし、そもそもこれは本当にエコなのでしょうか?
もしかすると、洗濯コストの削減が背景にあるのかもしれません。
洗濯工場が抱える構造的な課題

現在、洗濯工場はインバウンド需要の高まりとホテル建設ラッシュの影響で引く手あまたの状態です。
宿泊施設の数は増え続けていますが、肝心の洗濯工場の数は増えていません。
記憶に新しいコロナ禍では、スーツや浴衣をはじめ、飲食業のおしぼりやテーブルクロスなどの洗濯物が激減し、工場の稼働率は五分の一にまで落ち込んだともいわれています。多くの工場が経営維持のために従業員を削減するなど、非常に厳しい状況を経験しました。
その後、需要は一気に戻りましたが、一度失われた人手をすぐに補うことはできません。加えて燃料費や人件費の高騰も経営を圧迫しています。
こうした状況では、従来の価格でのサービス提供は不可能で、価格改定は避けられない流れとなっています。設備投資を行えば増産も可能ですが、大型洗濯機の導入には億単位の資金が必要となるため、まずはコロナ禍で失われた内部留保を取り戻す必要があるという声も聞きます。
そのため、洗濯工場からの値上げ要請が相次いでいます。「コロナ前と比較して約3倍になった」という声も珍しくありません。ホテルや飲食業にとっては、これから攻めの経営を展開しようとする中で、こうしたコスト上昇は見過ごせない問題です。
値上げだけでなく、供給不足も深刻に
中には、週4回の集荷が週2回に減らされ、納品数量も不足しているというケースもあります。
あるホテルマンからは、「リネンの納品が間に合わず、部屋の清掃ができず販売できない状態が起きている」といった驚きの声もありました。シーツやタオルが足りず、客室を販売できないという機会損失が現実に起こっています。
こうした中で、洗濯の内製化を検討される企業様からのご相談が増えています。なかには「洗濯業者から契約終了の通知を受け、急ぎ代わりを探しているが見つからない」「ようやく見つけても料金が高く、以前の値上げを受け入れていればよかった」と後悔される方も。
最終的には自社での洗濯を検討し、機器の購入を考える段階に至ることも少なくありません。
タオルの洗濯だけでも“内製化”の価値は大きい
当社としても、こうしたご相談には真摯に対応しております。特にバスタオルのようなタオル類だけでも内製化できれば、ホテルにとって大きなメリットになります。
たとえば、バスタオル100枚であれば、当社の26キロ洗濯機で2回に分けて洗濯でき、乾燥も同じく2回。いずれも30〜40分ほどで完了するため、たたみ作業も含めて約2時間程度で終わります。
操作も簡単で、洗濯物を機械に入れてスタートを押すだけ。洗濯が終わったら乾燥機に移して、乾燥が終われば取り出してたたむだけです。機械が動いている間は、フロント業務や清掃と並行して作業できます。
気になるコストは?
気になるコストも、洗濯・乾燥1回分(水道・電気・LPガス・洗剤代含む)で約438円。1日2回稼働すれば876円で、月額にして26,280円程度。機器代は別ですが、月3万円以下で100枚のタオルを毎日洗濯できる計算になります。
もちろん、フェイスタオルやバスマット、水洗い可能な館内着なども内製化が可能です。洗濯回数が1日4回でも、ランニングコストは月6万円以下に抑えられます。これなら、いつでも洗い立てのタオルを安定して用意できます。
内製化の導入、どんな体制で行うの?
問題となるのは人手ですが、多くのホテルでは清掃スタッフや夜勤スタッフが洗濯も兼務することで対応しています。
専任スタッフを新たに採用する必要がなく、人件費の負担増や採用の手間も抑えられます。夜間であれば、洗濯機の稼働音も宿泊客の迷惑になりにくく、効率的な運用が可能です。
📌まとめ:タオル1枚の扱いが、経営の鍵を握る

洗濯に関するお悩みは、今やホテル経営の重大な課題です。たかがタオル、されどタオル。
ぜひ一度、洗濯業務の内製化をご検討してみませんか。
当社では、過去1年分の明細をご提供いただければ、コスト削減の試算を無料で承っております。
お気軽にお問合せください。
このコラムを書いた人
池部慎二
株式会社ダイワコーポレーション
執行役員
- 業務用ランドリー業界最大手のAlliance Laundry Systems社(米国)にて日本・韓国市場を統括
- 2015年:ダイワコーポレーションの経営企画部長に就任。コインランドリー事業説明会講師・拠点拡大・中長期計画策定・社員教育に注力
- 2018年:施設向け事業の全国展開を推進、複数の大手企業との業務提携を実現
- 2023年:執行役員として全社の事業推進及びマーケティングを統括
- TV等メディア出演実績あり