ホテルの洗濯を内製化するメリットとは?
インバウンド増加に備えて外注費・リネン不足を見直す方法
近年のインバウンド需要の回復・拡大により、ホテルや旅館では宿泊客の増加が見込まれています。
一方で、客室稼働率が高まるほど、シーツやタオルなどのリネン類を洗濯する量も確実に増えていきます。
客室稼働率の向上は、宿泊施設にとって大きなチャンスです。
しかし、洗濯を外部業者に委託している場合、宿泊客の増加に伴って外注費の増加、リネン業界の人手不足による繁忙期のリネン不足が運営上のリスクになることもあります。
こうした課題を解決する選択肢として注目されているのが、業務用洗濯機・乾燥機を導入し、ホテル内でリネンを処理する「洗濯の内製化」です。
本記事では、ホテルの洗濯物が増える背景から、外注・内製・ハイブリッド運用の違い、コスト比較の考え方まで、宿泊施設の担当者が検討しやすいように整理して解説します。
インバウンド増加で、ホテルの洗濯量はどう変わる?
図1:インバウンド増加から洗濯量・コスト増加までの流れ
インバウンドでホテルの洗濯物が増える理由
ホテルでは、宿泊客が入れ替わるたびに、シーツ、枕カバー、バスタオル、フェイスタオルなどのリネン類を交換します。
1室あたりの洗濯量は限られていても、客室数が多く、稼働率が高い施設ほど、1日に処理する洗濯量は大きくなります。
つまり、インバウンド需要の増加は、フロントや客室部門だけでなく、清掃・リネン・洗濯といったバックヤード業務にも大きく影響します。
現在は問題なく運用できていても、繁忙期や今後の稼働率上昇を見据えるなら、洗濯体制を早めに見直しておくことが重要です。
「洗濯物が増える」だけではない。外注運用で起こりやすい課題
洗濯を外注すれば、ホテル側は洗濯設備の管理や日々の作業負担を抑えやすくなります。
その一方で、外部業者の集荷・洗濯・配送スケジュールに、日々の運用が左右されやすいという課題もあります。
特に繁忙期や急な予約増があった場合、必要なタイミングで十分なリネンを確保できるかが重要になります。
リネンが不足すると、清掃が完了していても客室を販売できないケースが生じる可能性があります。
これは単なる洗濯コストの問題にとどまりません。
本来販売できる客室を販売できなければ、売上機会の損失につながることになります。
ホテルの洗濯を「内製化」するという選択肢
洗濯の内製化とは、業務用洗濯機や乾燥機などを導入し、ホテル・旅館の施設内でリネン類を洗濯・乾燥する運用方法です。
外注していた洗濯業務の一部、または全部を施設内で行うことで、予約状況や当日の稼働に合わせて洗濯量を調整しやすくなります。
ただし、「内製化すれば必ず安くなる」と考えるのは早計です。
設備の導入費、水道光熱費、洗剤費、メンテナンス費、スタッフの作業時間などが新たに発生するためです。
外注と内製を単純に比較するのではなく、ホテル全体のコストと運用面から検討することが大切です。
洗濯体制は「外注・内製・ハイブリッド」から選べる
図2:ホテルの規模や運用に合わせて、外注・内製・ハイブリッドを選択
洗濯内製化のメリット① コストを見直せる
内製化を検討する大きな理由の一つが、洗濯関連コストの見直しです。
まずは現在のリネン外注費を、客室数、稼働率、宿泊人数、1日あたりの洗濯量などと照らし合わせて把握することから始めましょう。
内製化した場合、外注費を抑えられる一方で、設備費や水道光熱費、人件費などが発生します。
そのため、月々の請求額だけで判断せず、一定期間での総コストを比較することがポイントです。
洗濯内製化のメリット② リネン不足のリスクを抑えやすい
ホテル内で洗濯できる体制があれば、予約状況に応じて洗濯量を調整できます。
たとえば、「明日は予約が多いので今日のうちに多めに洗っておく」「急な予約に備えて追加でタオルを洗う」といった柔軟な対応がしやすくなります。
もちろん、内製化したからといってリネン不足が完全になくなるわけではありません。
必要な設備容量、乾燥能力、保管スペース、スタッフの作業時間などを、あらかじめ設計しておく必要があります。
洗濯内製化のメリット③ インバウンドによる将来の洗濯量増加に備えられる
設備を検討する際は、現在の洗濯量だけでなく、今後の客室稼働率や宿泊客数の増加も見込んでおくことが大切です。
将来の需要に合わせた処理能力を確保しておけば、繁忙期でも安定した運用を行いやすくなります。
「すべて内製化」する必要はない
洗濯内製化は、ホテルで使用するすべてのリネンを自社で洗濯することだけを意味しません。
施設の規模や運用に合わせて、一部だけを内製化する方法もあります。
タオル類など使用頻度の高いものだけを内製化する
一部のリネンだけを自社で洗濯する
繁忙期のバックアップ用として洗濯設備を導入する
通常は外注し、必要な分だけ施設内で洗濯する
必ずしも「外注か内製か」という二択で考える必要はなく自社のホテルに合った洗濯体制をつくることが、安定した運営につながります。
「すべて内製化」しなくても、洗濯体制は見直せる
図3:一部内製化や繁忙期のバックアップなど、ハイブリッド運用も選択肢
コスト軽減を考えるなら「洗濯代」だけを比較しない
洗濯の内製化を検討するときは、「外注費」と「水道光熱費」だけを比べるのでは不十分です。
洗濯業務にかかる直接費用だけでなく、運用上の制約やリネン不足による機会損失まで含めて考える必要があります。
コスト比較は「洗濯代」だけでなく総コストで
図4:外注と内製は、発生する費用の種類が異なるため総コストで比較
外注の場合に確認したい項目
リネンの洗濯・外注費
集荷・配送に関する費用
リネン不足が発生した場合の影響
納品スケジュールによる運用上の制約
内製化の場合に確認したい項目
洗濯機・乾燥機の導入費
水道・電気・ガスなどの水道光熱費
洗剤・消耗品・メンテナンス費
洗濯・乾燥・搬送・収納にかかるスタッフの作業時間
ホテルの洗濯内製化を検討するときのチェックポイント
現在の月間リネン外注費はいくらか
1日・1週間あたりの洗濯量はどの程度か
客室数と平均稼働率はどの程度か
繁忙期にリネン不足が起きていないか
洗濯機・乾燥機を設置できるスペースがあるか
給排水・電源・ガスなどの設備条件を満たせるか
洗濯・乾燥・搬送・収納を担当するスタッフを確保できるか
将来の宿泊客増加を見込んだ処理能力が必要か
📌まとめ
インバウンド需要の拡大は、ホテルにとって大きな機会です。
一方で、客室稼働率が上がるほど、清掃、リネン、洗濯といったバックヤード業務の負荷も高まります。
洗濯は目立ちにくい業務ですが、宿泊客が増えるほど洗濯物が増え、関連コストも増加します。
さらに、リネンが不足すれば、本来販売できる客室を販売できない可能性もあります。
だからこそ、これまで外注が当たり前だった洗濯業務も、一度立ち止まって見直す価値があります。
内製化、外注、ハイブリッド運用のどれが適しているかは、施設の規模、洗濯量、稼働率、設備条件、人員体制によって異なります。
現在の外注費、洗濯量、客室数、稼働率などを整理し、内製化した場合のコストと比較してみましょう。
ダイワコーポレーションでは、ホテル・旅館など宿泊施設への業務用洗濯機・乾燥機の導入をサポートしています。
施設の規模や洗濯量、設置スペース、運用方法を踏まえ、洗濯環境をご提案します。
このコラムを書いた人
内村圭太
株式会社ダイワコーポレーション
法人事業部企画課(執筆当時)
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